泌尿器科

当科の特徴

ダヴィンチXiによるロボット支援手術(前立腺癌、腎癌)

平成28年10月 治療開始

ダヴィンチXiによるロボット支援手術(前立腺癌、腎癌)ダヴィンチXiによるロボット支援手術(前立腺癌、腎癌)

 ダヴィンチ は、アメリカのインチュイチブ社が開発した腹腔鏡手術を支援するマスタースレーブ型ロボットです。日本では、平成24年4月 前立腺癌に対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘出術が保険収載され、平成29年4月 腎癌に対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術が保険収載 され、平成30年4月 膀胱癌に対するロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘出術が保険収載されました。 特徴は、腹腔鏡下手術や開腹手術に比較して精度の高い手術が可能になります。 前立腺癌 では、 術後尿失禁の早期回復勃起神経温存手術成績の向上 が確認されています。 腎癌の腎部分切除術 では、 癌根治率、腎機能温存、合併症低下において通常の腹腔鏡手術に勝る ことが確認されています。 また、膀胱癌に対する膀胱全摘出術においても出血量の減少が確認されています。当院では、平成 28年 6月 4日に導入し、 平成28年10月から運用開始しました。 手術支援ロボット ダヴィンチXi による 前立腺癌の前立腺全摘出術と腎癌の腎部分切除術 は、平成30年5月18日までにそれぞれ125症例と20症例、膀胱全摘出術もすでに2症例行い順調に運用しています。

腹腔鏡手術

25年以上歴史ある身体に負担が少ない( 低侵襲 )患者様にやさしい手術方法です。トロッカーポートという煙突のような筒を3~5本腹壁から挿入し、お腹に炭酸ガスを注入(気腹)してお腹の中を膨らました状態で、トロッカーポートから内視鏡と手術器具を挿入して行う手術です。摘出すべき臓器は取り出せる最小の切開創から体外に取り出します。摘出する臓器のない手術や摘出すべき臓器が小さい手術では、さらに切開創が小さくてすみます。また腹腔鏡手術が他の手術に勝っているのは術中出血が最も少ない点です。これは気腹(お腹の中を炭酸ガスで膨らませて手術空間を作る)による気腹圧(水銀柱圧で8~10 mm )をかけるため静脈からの出血が減少するからです。
 現在は手術技術が進んだ結果、気腹による副作用( 皮下気腫,炭酸ガス塞栓 )などもほとんど発生しなくなり、循環動態への悪影響に関しても麻酔管理技術の向上によって安全に行えるようになりました。
 当科では平成20年5月から、名古屋大学泌尿器科学教室の泌尿器腹腔鏡技術認定医である後藤百万教授、服部良平先生(平成24年6月まで准教授、平成24年7月から名古屋第1赤十字病院腎泌尿器科内視鏡外科部長)、吉野能先生(平成30年3月まで准教授、平成30年4月から名古屋医療センター泌尿器科部長)、松川宜久講師にご指導いただき開始し、平成24年4月 部長成島医師が泌尿器腹腔鏡技術認定医を取得しました。平成23年からは副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘出術を、平成26年12月から膀胱癌に対する腹腔鏡下膀胱全摘出術を、平成27年2月から腎盂尿管移行部狭窄症に対する腹腔鏡下腎盂形成術を、平成27年10月から腎癌に対する腹腔鏡下腎部分切除術を開始しました。平成30年4月までに172症例施行しました。
 また子宮筋腫や卵巣良性腫瘍の合併された骨盤臓器脱患者様に対して、平成24年12月から腹腔鏡下に子宮筋腫や卵巣腫瘍の摘出と同時に骨盤臓器脱をメッシュで吊り上げる腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を開始しました。平成26年4月からは保険適応となり、子宮筋腫や卵巣良性腫瘍の合併しない骨盤臓器脱患者様にも行えるようになりました。平成30年5月18日までに664症例施行しましたが、経過は極めて良好月に15~20件行っています。

女性骨盤臓器脱手術=性器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・腟断端脱)

 お産による骨盤内支持組織の裂傷や加齢などが主な原因で、腟口から子宮・膀胱・直腸などが脱出する女性特有の疾患です。骨盤臓器脱は英語ではPelvic Organ Prolapseと言い我々専門医はPOPと呼んでいます。骨盤臓器脱は外陰部違和感・下垂感や排尿困難・頻尿・尿失禁・便秘などの症状を伴うことが多く、入浴時や排便排尿時に腟口にピンポン玉のようなはれもの( 腫瘤 )をさわり気づかれることが多い疾患です。

【 正常な女性骨盤臓器位置 】
正常な女性骨盤臓器位置
【 膀胱瘤の女性骨臓器位置 】
膀胱瘤の女性骨臓器位置
【 子宮脱の女性骨臓器位置 】
子宮脱の女性骨臓器位置
【 直腸瘤の女性骨臓器位置 】
直腸瘤の女性骨臓器位置
【 腟断端脱の女性骨臓器位置 】
腟断端脱の女性骨臓器位置
2004年(平成16年)、従来の手術方法に比べ身体への負担が少ない( 低侵襲 )で再発率の低いメッシュを使用するTVM( Tension-free vaginal mesh )手術がフランスで開発され、平成17年に日本に導入されました。当科では平成19年4月から平成30年5月18日まで1024例施行し、良好な手術結果を得ています。7日間の入院で行っています。
 子宮筋腫や卵巣良性腫瘍の合併された骨盤臓器脱患者様に対して、平成24年12月から腹腔鏡下に子宮筋腫や卵巣腫瘍の摘出と同時に骨盤臓器脱をメッシュで吊り上げる腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を開始しました。平成26年4月から保険適応となったため、子宮筋腫や卵巣良性腫瘍の合併のない骨盤臓器脱患者様にも広く行うことができるようになりました。平成30年5月18日までに664症例施行しましたが、経過は極めて良好で再発率も低率です。入院期間は7日間です。
【 TVMのメッシュ挿入位置 】
TVMのメッシュ挿入位置
 手術用の糸と同じ材質の身体になじみやすい素材のポロプロピレン糸を編んだメッシュを下の図のように、膀胱と前腟壁の間( 前壁メッシュ:A-TVM )と直腸と後腟壁の間( 後壁メッシュ:P-TVM )に腟壁を切開して埋め込む手術(経腟手術)です。膀胱瘤の場合は前壁メッシュだけ、直腸瘤の場合は後壁メッシュだけ埋め込みますが、子宮脱や腟断端脱の場合は前壁メッシュと後壁メッシュ両方を埋め込みます。比較的大きなメッシュを埋め込む手術でプロリフト型TVM手術といいます。それに対して比較的小さなメッシュを埋め込んで骨盤臓器脱を治す手術方法のエレベート型TVM手術を平成25年11月に導入し、H26年9月までに166例施行しました。エレベート型TVM手術は、子宮脱に対しても前壁メッシュだけで治療できるため手術時間が短縮しました。さらに、平成26年9月からは、エレベート型TVM手術に代わってアップホールド型TVM手術を導入しました。アップホールド型TVM手術は、エレベート型のTVM手術に比較してさらに短時間で行える身体に負担の少ない手術です。平成30年5月までに269例施行しましたが、プロリフト型TVM手術エレベート型TVM手術に比べて術後疼痛が少なく合併症・再発率が少ない素晴らしい手術です。
 しかしながら、平成24年12月に開始した腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)が、アップホールド型TVM手術勝る成績であることが判明したため、現在では腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)が第一選択の手術となりました。
プロリフト型TVMの前壁用メッシュ
プロリフト型TVMの前壁用メッシュ
プロリフト型A-TVMの手術模式図
プロリフト型A-TVMの手術模式図
プロリフト型TVMの後壁用メッシュ
プロリフト型TVMの後壁用メッシュ
プロリフト型P-TVMの手術模式図
プロリフト型P-TVMの手術模式図
エレベート型TVMのメッシュ
エレベート型TVMのメッシュ
アップホールド型TVMのメッシュ
アップホールド型TVMのメッシュ
エレベート型TVM手術模式図
エレベート型TVM手術模式図
アップホールド型TVM手術模式図
アップホールド型TVM手術模式図
女性骨盤臓器脱手術に対するTVM(メッシュ)手術
女性骨盤臓器脱手術に対するTVM(メッシュ)手術
【 LSC手術 】
LSC手術
エレベート型TVMのメッシュ
LSCメッシュ
アップホールド型TVMのメッシュ
LSC手術摸式図
 全身麻酔下に腟壁の裏側にポリプロピレンメッシュのシートを挿入し、このシートに連続した幅2.5cmのテープを仙骨前面に固定し下垂を矯正する腹腔鏡手術です。手術時間は約2.5時間です。経腟的メッシュ手術(TVM手術)に比較して術後の臀部~大腿痛が無いこと性生活に影響の少ないことが特長で、TVM手術が禁止されている50歳未満の年齢の方にも行うことができます。また、子宮筋腫や良性卵巣腫瘍の合併症に対しても同時に治療が行えます。TVMに比べて手術時間は長いですが、出血量はTVM手術より少なく、TVM手術後の約5%に見られた一過性の排尿困難の合併症がなく、再発率が2.7%(367人中10人が再発しましたが、再手術は必要ない程度のものです)と海外の再発率4~10%の成績に比べ低く、術後成績の優れた手術です。入院期間はTVM手術と同じ7日間です。
LSC術中写真(H28.8.15)
LSC術中写真 (H28.8.15)

女性泌尿器科・ウロギネセンター
( ☆ 女性泌尿器科外来 )⇒(平成24年6月からウロギネセンターに名称変更し機能を移行しました)

女性特有の主に骨盤臓器脱と腹圧性尿失禁を対象とした女性専門外来です。
 平成20年4月に開設し、泌尿器科部長成島医師が診療を行っていましたが、ウロギネセンターとなってからは、ウロギネセンター長(泌尿器科部長兼任)成島医師、荒木医師、骨盤底筋訓練専門理学療法士、皮膚排泄認定(WOC)看護師、看護師、助産師、排尿機能検査士、事務のチーム医療となり、以前より強力できめ細かい医療サービスを提供できるようになりました。さらに平成29年1月からは、女性泌尿器科を標榜できるようになったため、女性泌尿器科・ウロギネセンターとなりました。ウロギネセンター外来月3回金曜日13:30~15:30( 電話予約制 )に診療しています。当院女性泌尿器科・ウロギネセンターのご案内(PDF)をご覧ください。なお、ウロギネ診療をお急ぎの患者様は、同じ診療を泌尿器科外来(火)(木)にも行っておりますのでウロギネセンターまたは泌尿器科外来までお電話ください。 

連絡先
052-551-6121(名鉄病院代表)平日8:30~17:00
(女性泌尿器科・ウロギネセンターまたは泌尿器科外来につないで下さい)

前立腺肥大症手術

 前立腺肥大症は50歳以降の男性に最も多い泌尿器科的疾患で、排尿困難や頻尿が特徴的症状で進行すると全く尿が出ない尿閉腎不全に発展することがあります。中等症までは内服治療で症状を改善することができますが、重症になると手術治療が必要です。現在の手術治療のゴールドスタンダードはTUR-P経尿道的前立腺切除術 )で、お腹を切開することなく尿道から内視鏡を挿入して比較的簡単に手術することができます。当科では平成11年~平成28年の18年間に2028症例の手術を行っています。
 内服治療に関しては、前立腺部尿道を広げて排尿を改善するα1拮抗薬( ユリーフ®、ハルナールD錠®、フリバス® )に加え、前立腺肥大を縮小させる作用のある5α還元酵素阻害薬のアボルブ®(デュタステリド)、さらに平成26年4月発売のPDE阻害薬のザルティア®などがあります。

尿路結石症治療(ESWL:体外衝撃波結石破砕術・内視鏡手術)

 腰背部から下腹部に激しい痛みや血尿で発症する疾患で、泌尿器科全般の中で最も多い疾患です。現在では体外から衝撃波を結石に当てることで結石を砂状に細かく砕く ESWL(体外衝撃波結石破砕術)や、内視鏡とレーザーを用いて結石を細かく砕く経尿道的軟性尿管鏡下結石砕石術( f‐TUL )経皮的尿路結石砕石術( PNL )があります。以前は、ESWLが主流でしたが、最近では結石の大きさや位置によって適切な術式を選択することがより良いと言われるようになってきました。
 当科のESWL : 結石破砕装置はフランスのエダップ社製( スパークギャップ方式 )で、砕石力が非常に強力ですが痛みの少ない装置、ソノリス・アイシスです。アイシスは、衝撃波発生装置の反響レンズの口径が大きく、焦点距離が17cmと長いため、治療中の疼痛が軽減され、体格の大きな患者様の結石にも焦点が正確に合わせることが可能です。平成10年~平成29年の20年間で 約4578症例施行しています。
 ESWLでは砕石できない硬い結石や、多数回のESWL治療が必要と予想される大きな硬い結石に対しては内視鏡による手術の経尿道的軟性尿管鏡下結石砕石術( f‐TUL )または経皮的尿路結石砕石術( PNL )を行います。
 経尿道的軟性尿管鏡下結石砕石術( f‐TUL )は、下半身麻酔下に径3mmの細い内視鏡を尿道から尿管に挿入し、ホルミニウムヤグレーザー(LUMENIS)(平成24年4月導入)で細かく砕石します。硬い結石でも砕石が可能です。ホルミニウムヤグレーザー(LUMENIS)導入~平成29年12月までに359症例行い良好な成績です。
 経皮的尿路結石砕石術( PNL )は、全身麻酔下に腎瘻という背中から直接腎盂に細い穴を開け、この穴から径6mmの内視鏡を腎盂まで挿入して結石をホルミニウムヤグレーザー(LUMENIS)で細かく砕石します。径15mm以上の大きな腎結石症に行います。

エダップ社製ソノリス・アイシス(スパークギャップ方式)結石破砕装置

エダップ社製ソノリス・アイシス(スパークギャップ方式)結石破砕装置

エダップ社製ソノリス・アイシスの大口径衝撃波発生音響レンズ

エダップ社製ソノリス・アイシスの大口径衝撃波発生音響レンズ

ソノリス・アイシスによる結石治療風景ソノリス・アイシスによる結石治療風景

ソノリス・アイシスによる結石治療風景

エダップ社製ソノリス・アイシス(スパークギャップ方式)結石破砕装置
ホルミニウムヤグレーザー装置(LUMENIS)

当科で診療する主な疾患

前立腺癌

 食生活の欧米化に伴って急速に増加し、現在泌尿器科領域の癌で最も多い疾患です。
幸いなことに、前立腺癌は血液検査( PSA:前立腺特異抗原 )で簡単にスクリーニングでき、超音波下に行う前立腺針生検で早期に発見することができます。
 早期の前立腺癌は前立腺全摘出術という手術( 天皇陛下が受けられました )を行うことで、90%根治すことができます。当科では身体への負担が少なく( 低侵襲 )術後回復の早い腹腔鏡下小切開手術平成28年9月30日までに360症例の手術を施行しました。さらに、平成28年10月から運用開始した手術支援ロボット ダヴィンチXiによるロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘出術(RARP)は、腹腔鏡下小切開手術と比較して、低侵襲に加え術後の尿失禁の回復期間が短縮し、勃起神経温存手術についても良好な成績です。平成30年5月18日までに125症例行い経過良好です。
 手術治療以外には、ホルモン治療・放射線治療・新しい抗癌剤( ドセタキセル、カバジタキセル )や、平成26年新発売の新しいホルモン治療薬のイクスタジン®やザイティガ®(内服薬)による治療があります。

腎臓癌・腎盂癌・尿管癌

 腎臓癌は近年、超音波検査やCT検査で偶然早期に発見されることが多い疾患で、腎盂・尿管癌は肉眼的血尿の症状がきっかけで見つかる事が多い疾患です。
 治療には摘出手術が必要です。当科では、現在、身体への負担が少なく( 低侵襲 )術後回復の早い腹腔鏡手術や腹腔鏡下小切開手術(127症例施行)を主体に行ってまいりましたが、平成26年からは、腹腔鏡手術が主体になりました。理由は、腹腔手術腹腔鏡下小切開手術に比較して、手術創がより小さく術後の痛みも少ないからです。手術翌日から食事・歩行ができ、術後1~3日目に導尿カテーテルが抜けて術後7日目には退院ができます。平成30年5月18日までに腹腔鏡手術は130症例施行し術後経過良好です。
 また、近年早期の腎細胞癌に対しては腎蔵機能温存の重要性から腎部分切除術が推奨されています。以前は、腹腔鏡下小切開手術や腹腔鏡手術による腎部分切除術を行っていました。ところが、平成28年4月ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)が、保険収載されました。ロボット支援腎部分切除術(RAPN)が、腹腔鏡手術と比較して癌切除断端陽性率(癌の根治率)、腎機能温存率、合併症率で勝っていることが明らかになったためです。当院でも平成28年6月4日に最新のダヴィンチXiを導入し、10月からロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)の運用を開始、平成30年5月18日までに20症例施行し術後経過良好です。
 手術以外の治療法としては、腎盂・尿管癌に対しては、放射線治療・抗癌剤治療M-VAC療法 ・ GC療法 )などがあり、腎細胞癌に対しては、従来からの抗腫瘍薬のインターフェロンやインターロイキンに加え、新薬の分子標的薬(ネクサバール®、スーテント®、アフィニトール®、トーリセル®、インライタ®)が登場し朗報です。

腎癌に対する腎部分切除術は、平成28年 10月から、より精度の高い手術が可能なダヴィンチ手術に移行しました。

副腎腫瘍(腺腫)

 副腎は腎蔵のすぐ上にあります。血圧や体調をコントロールする数種のホルモンを分泌する臓器です。これらのホルモンを過剰に分泌する腺腫という良性の腫瘍が発生すると高血圧や肥満を発症することがあります。代表的疾患は、クッシング病、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫です。当院内分泌内科と連携して身体への負担が少なく( 低侵襲 )術後回復の早い腹腔鏡手術で治療を行っています。

膀胱癌

 肉眼的血尿の症状がきっかけで見つかる事が多い疾患です。
95%の方が見つかった時には早期です。早期の場合は経尿道的に内視鏡で簡単に切除する( TUR-Bt:経尿道的膀胱腫瘍切除術 )ことが可能です。当科では平成10年~平成29年の20年間に1546症例の手術件数を行っていて良好な術後経過です。
 進行癌の場合は、膀胱全摘出術という膀胱を摘出する手術が必要です。膀胱摘出に伴い新しく尿の排泄路( 尿路変更 )を作る必要があります。その方法として歴史的に信頼性が高い回腸導管造設術や、尿道から自分で排尿可能な( 自排尿型 )代用膀胱造設術などがあります。
手術方法は、平成30年3月までは、開腹手術、腹腔鏡下小切開手術( 6cmの小切開創から腹腔鏡を併用して行う手術: 58症例施行 )や腹腔鏡手術( 21症例施行 )で行って来ました。しかしながら、平成30年4月からは最新の腹腔鏡手術であるロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘出術(RARC)が保険収載されました。ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘出術(RARC)は、腹腔鏡手術の利点に加え更に精度の高い手術が可能な手術方法であるため、今後はロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘出術(RARC)が手術の主流となります。当院では、既に2症例施行し経過良好です。
 ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘出術(RARC)は、腹腔鏡下小切開手術と比較して出血量が少なく、手術創も小さいため術後の痛みも少ないのが特長です。手術翌日から飲水・歩行が可能で、術後2日目から食事開始、術後10日目頃には退院可能な身体状態となりますが、回腸導管のストーマケアーや代用膀胱の管理指導を受けた後に退院になります。平成24年4月からストーマ管理の専門的トレーニングを受けた皮膚排泄認定(WOC)看護師が配置されストーマ外来も開設したので、細やかな看護ができる体制です。

膀胱癌に対する腹腔鏡下小切開膀胱全摘出術・代用膀胱造設術
膀胱癌に対する腹腔鏡下小切開膀胱全摘出術・代用膀胱造設術

手術治療以外には、抗癌剤の膀胱内注入療法BCGの膀胱内注入療法全身抗癌剤治療M-VAC療法・GC療法 ) ・ 抗癌剤動脈内注入療法 も行っています。

骨盤臓器脱=性器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・腟断端脱)

 お産による骨盤内支持組織の裂傷や加齢などが主な原因で、腟口から子宮・膀胱・直腸などが脱出する女性特有の疾患です。骨盤臓器脱は英語ではPelvic Organ Prolapseと言い我々専門医の間ではPOPと呼ばれています。外陰部違和感・下垂感や排尿困難・頻尿・尿失禁・便秘などの症状を伴うことが多く、入浴時や排便排尿時に外陰部にピンポン玉のようなはれもの( 腫瘤 )を触り気づかれることが多いようです。
 今世紀に入り従来の手術方法に比べ手術の身体への負担が少ない( 低侵襲 )再発率の低いメッシュを使用するTVM( Tension-free vaginal mesh )手術がフランスで開発され、平成17年に日本にも導入されました。当科でも平成19年4月から開始し、良好な手術結果を得ています。麻酔は、体に負担の少ない下半身麻酔( 脊椎麻酔 )で行っていますが、手術中は鎮静剤で眠っていただきますので苦痛なく手術が受けられます。入院期間は7日間です。平成30年5月18日までに1224症例施行し良好な手術成績です。
 子宮筋腫や卵巣良性腫瘍の合併された骨盤臓器脱患者様に対して、平成24年12月から腹腔鏡下に子宮筋腫や卵巣腫瘍の摘出と同時に骨盤臓器脱をメッシュで吊り上げる腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を開始しました。平成26年4月から保険適応となったため、子宮筋腫や卵巣良性腫瘍の合併のない骨盤臓器脱患者様にも広く行うことができるようになりました。平成30年5月18日までに664症例施行しましたが、経過は極めて良好で再発率も低率です。入院期間は7日間です。
平成20年4月から女性泌尿器科として泌尿器科部長成島医師が診療を行ってきましたが、平成24年6月ウロギネセンターを開設し、センター長(泌尿器科部長兼任)成島医師、荒木医師、骨盤底筋訓練専門理学療法士、皮膚排泄認定(WOC)看護師、看護師、助産師、排尿機能検査士、医療事務によるチーム医療で、以前より強力できめ細かいサービスを提供できるようになりました。さらに平成29年1月からは、女性泌尿器科を標榜できるようになったため、女性泌尿器科・ウロギネセンターとなりました。ウロギネセンター外来は、月3回金曜日13:30~15:30( 電話予約制 )に行っています。当院女性泌尿器科・ウロギネセンターのご案内(PDF)をご覧ください。なお、ウロギネ診療をお急ぎの患者様は、同じ診療を泌尿器科外来(火)(木)にも行っておりますのでウロギネセンターまたは泌尿器科外来までお電話ください。

連絡先
052-551-6121(名鉄病院代表)平日8:30~17:00
(女性泌尿器科・ウロギネセンターまたは泌尿器科外来につないで下さい)

女性腹圧性尿失禁

 骨盤臓器脱と同じようにお産などによる骨盤内支持組織の裂傷などが主な原因で発症する疾患です。
軽症では内服治療( スピロペント®骨盤底筋体操などが有効ですが、中等症以上では手術治療が必要です。
 当科では, TVT( Tension-free vaginal tape )手術TOT( Transobturator tape )手術など経腟的に行う最新の身体への負担が少なく( 低侵襲 )術後回復の早い腹圧性尿失禁根治手術( 下半身麻酔で施行し、5日間の入院 )を施行しています。麻酔は下半身麻酔( 脊椎麻酔 )で施行し、手術時間30分以内です。これらの手術により90%の治癒が望めます。年間30~50症例の手術を行っています。
当疾患も女性泌尿器科・ウロギネセンター泌尿器科外来で診察を行っています。( 電話予約制:ウロギネセンターまたは泌尿器科外来にお電話下さい )

連絡先
052-551-6121(名鉄病院代表)平日8:30~17:00
(女性泌尿器科・ウロギネセンターまたは泌尿器科外来につないで下さい)

前立腺肥大症

 50歳以降の男性に最も多い泌尿器科的疾患で、排尿困難頻尿が特徴的症状で進行すると全く尿が出ない尿閉腎不全に発展することがあります。中等症までは内服治療で症状を改善することができます。前立腺肥大症治療薬に関しては、従来の前立腺部尿道を広げて排尿を改善するα1拮抗薬( ユリーフ®、ハルナールD錠®、フリバス® )に加え、前立腺肥大を縮小させる作用のある5α還元酵素阻害薬のアボルブ®(デュタステリド)、さらに本年4月新発売のPDE阻害薬のザルティア®も処方出来るようになり、軽~中度の前立腺肥大症の患者様には朗報です。
 しかし重症になると手術治療が必要です。現在の手術治療のゴールドスタンダードはTUR-P( 経尿道的前立腺切除術 )でお腹を切開することなく、尿道から内視鏡を挿入して比較的簡単に手術することができます。当科では平成11年~平成29年の18年間に2028症例の手術件数を行っていて良好な手術成績です。

尿路結石症

 腰背部から下腹部に激しい痛みや血尿が見られる疾患で、泌尿器科全般の中で最も多い疾患の1つです。径5 mm未満の小さな結石は、内服治療( 漢方薬:芍薬甘草湯 + 猪苓湯ウロカルン® の併用が高い自然排石効果・疼痛発作抑制効果があります )で比較的速やかに自然排石させることが可能です。径5 mm以上の結石は自然排石に時間がかかるため、体外から衝撃波を結石に当てることで結石を砂状に細かく砕く治療 ESWL:体外衝撃波結石破砕術 の適応となります。
 当科の結石破砕装置はフランスのエダップ社製( スパークギャップ方式 )ソノリス・アイシスで、砕石力が非常に強力ですが痛みの少ない装置です。当科では平成10年~平成29年の20年間で 約4578症例施行しています。
 E ESWLでは砕石できない硬い結石や、多数回のESWL治療が必要と予想される大きな硬い結石に対しては内視鏡による手術TUL:経尿道的尿管砕石術またはPNL:経皮的腎砕石術を行います。
 TULは、下半身麻酔下に径3mmの細い内視鏡を尿道から尿管に挿入し、ホルミニウムヤグレーザー(LUMENIS)(平成24年4月導入)で細かく砕石します。硬い結石でも砕石が可能です。ホルミニウムヤグレーザー(LUMENIS)導入~平成29年12月までに359症例行い良好な成績です。
 PNLは、全身麻酔下に腎瘻という背中から直接腎盂に細い穴を開け、この穴から径6mmの内視鏡を腎盂まで挿入して結石をホルミニウムヤグレーザー(LUMENIS)で細かく砕石します。径15mm以上の大きな腎結石症に行います。

以上、当科の特徴と主な泌尿器科疾患について説明いたしました。

当科外来は、初診でも電話予約ができます。予約されて来院されることをお勧めいたします。

連絡先
052-551-6121(名鉄病院代表)平日8:30~17:00
(泌尿器科外来につないで下さい)

平成30年 5月

〒451-8511 名古屋市西区栄生2-26-11 TEL:052-551-6121

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