診療科

消化器内科

概要・特色

消化器内科では胃・大腸・肝臓・胆道・膵臓などのがん、胃十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎・クローン病、肝炎、胆石、膵炎など消化器疾患全般にわたる診療を行っています。
救急疾患はもちろんのこと、ご紹介いただいた患者さんや初診の患者さんでも可能な限り迅速に検査を行って診断を確定し、速やかに治療を開始するように努めています。
正確な診断、適切な治療を行うために外科、放射線科、病理と協力しあいながらチーム医療を行っています。

学会認定施設

  • 日本消化器病学会専攻研修認定施設
  • 日本超音波学会専門医研修施設
  • 日本肝臓学会認定施設
  • 日本消化器がん検診学会指導施設
  • 日本消化器内視鏡学会指導施設

日本超音波医学会認定超音波専門医研修施設

当院は「日本超音波医学会認定超音波専門医研修施設」の指定を受けました。
今後は、超音波検査士による研修をお受けいたします。
ご希望の方は、消化器内科 医師 竹田までお気軽にご一報ください。
【名鉄病院代表】TEL:052-551-6121  FAX:052-551-6711

主な対象疾患

  • 食道がん
  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 消化管出血
  • 黄疸・胆管炎
  • 炎症性腸疾患
  • B型・C型慢性肝炎
  • 吐血・下血
  • 腹痛
  • 腸閉塞
  1. 食道・胃・大腸のポリープや早期がんの内視鏡的診断と治療を専門としています。特に最新低侵襲の治療である「内視鏡的粘膜下層剥離術」も早期胃がんを中心に積極的に行っています。
  2. 胃潰瘍や十二指腸潰瘍からの出血、食道静脈瘤破裂などの消化管出血に対しては緊急内視鏡を施行し迅速に止血処置を行います。また、潰瘍や胃がんの原因といわれるヘリコバクター・ピロリ除菌治療も行っています。
  3. 胆管結石や膵臓がん・胆管がんなどで胆管閉塞による黄疸・胆管炎をきたした場合は、内視鏡を用いて結石を取り除いたり、胆管の中にチューブ(ステント)を挿入し、閉塞を解除します。
  4. 潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患に対しては、正確な内視鏡診断を行ったうえで、内服薬による治療だけでなく、血球除去療法や生物学的製剤による治療も行っています。
  5. B型・C型慢性肝炎のインターフェロン治療や抗ウイルス剤(核酸アナログ製剤)による治療を行っています。
  6. 吐血、下血、腹痛、腸閉塞などの救急疾患に対して常時対応しています。
  7. 脳血管障害などにより経口摂取が十分できない患者さんには内視鏡的胃瘻造設術も随時行っています。
  8. 胆嚢・膵臓の内視鏡治療および超音波内視鏡診断も行なっています。
  9. 手術適応のない各種消化器進行がんに対して抗がん剤治療を行っています。
  10. 手術適応のない各種消化器進行がんに対して化学療法(抗がん剤治療)を行っています。

診療内容

肝疾患の診断と治療

消化器内科では肝疾患としてウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎といった自己免疫性肝疾患、生活習慣病ともいえる非アルコール性脂肪性肝疾患、肝細胞がんなどを対象に診療を行っています。

C型肝炎について

C型肝炎は徐々に進行し、慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進展することが特徴です。C型肝炎が進行(線維化)すると血小板は減少し、肝がんが発症する割合が高くなることがわかっています(図1)。C型肝炎治療の目標は肝硬変・肝不全への進行を抑制し、肝がんの発症を阻止することです。そのためには、C型肝炎ウイルスを体内から排除することが重要となります。C型肝炎治療は近年新しい薬が次々と登場して大いに進歩しました。現在は8週または12週の経口薬(直接作用型抗ウイルス薬)による治療で95%前後のウイルス排除が可能になっています。以前のインターフェロンを用いた治療と比較して副作用も軽減し高齢な方でも治療可能です。肝機能が正常な方でも検査をすると肝臓の線維化が進んでおり、肝がんを合併する方もいます。特に血小板が減少している方は要注意です。

肝線維化10年肝がん合併率血小板数
軽度5%15〜18万
中等度15%13〜15万
高度30%10〜15万
肝硬変70%10万以下

図1 肝線維化と肝がん合併率・血小板数

B型肝炎について

B型慢性肝炎はC型肝炎と比較して発がん率は低いものの肝線維化の進行していない例でも肝がんを合併することがあり注意が必要です。当院ではガイドラインに従い核酸アナログ製剤やインターフェロン等の治療を積極的に行っております。

非アルコール性脂肪性肝疾患について

一般に肝臓の病気というと、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎やお酒の飲み過ぎによるアルコール性肝障害などを考えますが、最近、それらに関係なく発症する肝臓病として、非アルコール性脂肪性肝疾患が注目されています。生活習慣の乱れや運動不足などが原因です。進行すると肝臓の細胞が長い時間壊れ続け、次第に線維化を起こし肝臓はだんだん硬くなっていきます。さらにこれを放置すると、10年後には約1~2割が肝硬変になります。肝硬変にまで進行すると年率で数%に、肝がんが発生すると言われています。脂肪肝と言われる人は多く、成人の約3割と言われていますが、この段階で放置しないで、脂肪肝を治すことが大切です。

肝がんについて

肝疾患は肝がん発症の危険度に応じて3~6ヶ月毎に腫瘍マーカー検査・画像診断を行うことが推奨されています。当院ではCT、MRI、超音波検査等の画像検査、血液検査を行い、早期診断に努めております。特に造影超音波検査を積極的に施行しており、その検査件数は県内でもベスト3に入るまでになりました。超音波造影剤はCTやMRI検査に使用する造影剤とは異なり腎機能の低下している患者さんにも使用することが可能です。また、超音波検査の分解能はCTやMRIよりも小さいため、より早期の腫瘍を発見することができます。

患者さんにとって、負担が少なく、かつ効果的で安全な最新治療を行うことを心がけております。毎週木曜日に肝臓外来を開設しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

ピロリ菌と胃がん

ピロリ菌は、正式にはヘリコバクター・ピロリという細菌で、胃の強い酸の中でも生きることができ、日本人の二人に一人がピロリ菌に感染していると言われています。このピロリ菌が胃に住みつくと慢性胃炎を引き起こし、胃・十二指腸潰瘍の原因になる上に、慢性胃炎が続くと胃がんが発生しやすくなります。胃がんは減少傾向にあるとはいえ、日本では年間約12万5,000人の方が発症し、約5万人の方が命をおとしています。日本人の胃がんの98%はピロリ菌感染と関係しています。胃・十二指腸潰瘍や胃炎などの患者さんを対象としたわが国の調査では、10年間で胃がんになった人の割合は、ピロリ菌に感染していない人では0%、ピロリ菌に感染している人では2.9%であったと報告されています。
ピロリ菌は1週間の内服治療で90%以上の人が除菌可能です。ピロリ菌除菌により、胃がん発生は1/3~1/6に減るとの報告があります。除菌による胃がんの予防効果は若ければ若いほど高いこともわかっています。ピロリ菌の検査は、血液、呼気、便、内視鏡生検などにより、消化器内科外来や名鉄病院人間ドック(オプション)で検査することが可能です。ピロリ菌が陽性の場合は健康保険を使って除菌療法を受けることができますが、あらかじめ内視鏡検査で胃炎があることが診断されなければなりません。今後、胃がんで苦しむ患者さんを少しでも減らすために、予防医療としてピロリ菌の検査と除菌を強くおすすめしたいと思います。

診療実績

2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
内視鏡検査総件数7,6707,4816,3287,5037,523
緊急内視鏡(時間外のみ)1801108993116
上部消化管内視鏡4,7804,5973,7434,4284,482
上部 ESD2341243332
内視鏡的止血術
(上部・下部)
11690305582
その他内視鏡治療
(食道静脈瘤硬化療法、
消化管狭窄拡張術、
消化管ステント留置術、
異物除去、胃瘻造設など)
5241183239
下部消化管内視鏡2,4822,4852,1632,5732,559
大腸ポリープ切除術862804548623630
大腸ESD2022191933
ERCP252200204213187
ERCP関連治療
(結石除去、
ステント留置など)
219175177192169
EUS9911175121104
小腸カプセル内視鏡3442383718
経皮的胆道処置
(PTCD、PTGBDなど)
5051598748
腹部超音波検査
(造影含む)
5,0194,5794,1504,4664.107
造影超音波検査402418359397373

※なお、内視鏡の苦痛を暖和するため、当院では患者さんのご希望があれば鎮静剤を使用した内視鏡を積極的に行っております。

担当医紹介

役 職
消化器内科部長 兼 名鉄看護専門学校長 兼 安全管理室長
氏 名
西尾 雄司
資 格
日本内科学会指導医・総合内科専門医
日本消化器病学会指導医・専門医・東海支部評議員
日本消化器内視鏡学会指導医・専門医・学術評議員
日本肝臓学会指導医・認定肝臓専門医
日本消化器がん検診学会指導医・認定医
日本医師会認定産業医
名古屋大学医学部臨床講師
所属学会
日本超音波医学会
日本癌治療学会
日本カプセル内視鏡学会

コメント

内視鏡診断と治療に力を入れていますが、炎症性腸疾患や肝疾患の治療にも取り組んでいます。
医師になった時から患者さんに信頼される医師になることが目標でした。
今後とも初心を忘れないようにしていきたいと思います。
役 職
副院長 兼 研修管理室長 兼 医療支援センター部長
氏 名
竹田 欽一
資 格
日本内科学会認定医
日本消化器病学会認定医・指導医・東海支部評議員
日本消化器内視鏡学会認定医・指導医
日本超音波医学会認定医・指導医・日本超音波学会代議員
日本消化器がん検診学会認定医
日本腹部造影ドプラ診断研究会世話人
東海腹部造影超音波研究会世話人
所属学会
日本内科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本超音波学会
日本消化器がん検診学会
日本胆道学会
日本膵臓学会

コメント

自分は消化器疾患のなかでも特に胆道、膵臓疾患の画像診断、内視鏡治療に力をいれています。お気軽にご相談ください。
もちろん、胃・大腸内視鏡検査も担当しています。内視鏡関連の検査、治療は自分の得意とする領域です。
最近では超音波内視鏡検査など精密検査を担当するとともに、若手医師の内視鏡研修にも積極的に取り組んでいます。
役 職
内視鏡センター部長 兼 消化器内科付部長
氏 名
大林 友彦おおばやし ともひこ
卒業年
平成18年
資 格
日本内科学会指導医
総合内科専門医
日本消化器病学会専門医、指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
所属学会
日本消化管学会

コメント

食道・胃・十二指腸疾患などの上部消化管疾患を中心に、消化管全般を専門としています。安全で苦痛のない検査、治療をモットーに、日々取り組んで参りたいと思います。よろしくお願い致します。
役 職
医長
氏 名
濵崎 元伸
卒業年
2010年
専門領域
下部消化管(小腸・大腸)
資 格
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本肝臓学会専門医
所属学会
日本内科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本肝臓学会

コメント

私はこれまで消化器内科医として、地域中核病院や大学病院で研鑽を積んできました。
患者さんとそのご家族に寄り添った医療を心がけます。
氏 名
山本 佳奈
資 格
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医
所属学会
日本内科学会
日本消化器病学会
日本内視鏡学会

コメント

内視鏡検査・診断を中心に日々勉強させていただきながら頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。
役 職
医師
氏 名
市川 毅留
卒業年
令和元年
所属学会
日本内科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本肝臓学会

コメント

エコー、内視鏡などを中心に勉強、診療を頑張らせていただきます。
よろしくお願いします。